これまでのセミナー

第13回 大分大学 解析セミナー
日時 2023年11月24日(金) 16:30〜18:00
場所 サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)
講師 Reinhard Racke 氏(University of Konstanz)
題目 Blow-up for relaxed Navier-Stokes equations
要旨
We present a blow-up result for large data for relaxed compressible Navier-Stokes models with a hyperbolization through a nonlinear Cattaneo law for heat conduction as well as through the constitutive Maxwell type relations for the stress tensor. This blow-up occurs in contrast to the situation without relaxation, i.e. for the classical compressible Navier-Stokes equations, where global large solutions exist. It also contrasts the fact that for the linearized system associated to the classical resp. relaxed compressible Navier-Stokes equations, the qualitative behavior is exactly the same: exponential stability in bounded domains and polynomial decay without loss of regularity for the Cauchy problem.


第12回 大分大学 解析セミナー
日時 2023年6月17日(土) 16:10〜17:40
場所 サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)
講師 岩崎 悟 氏(大阪大)
題目 メトリックグラフ上の反応拡散方程式に特有の解について
要旨
メトリックグラフとは一次元領域が分岐したような空間領域であり、そのような空間領域上の偏微分方程式をメトリックグラフ上の偏微分方程式と呼ぶ。 メトリックグラフ上の偏微分方程式は、その空間分岐点の影響から、単なる空間一次元領域上の偏微分方程式とは異なる振る舞いをする解が現れることが知られている。 本講演では、Fisher-KPP方程式やAllen-Cahn方程式などのメトリックグラフ上の反応拡散方程式に対して、メトリックグラフを考えるからこそ現れる解について、理論的・数値的な解析結果を紹介する。 具体的には、進行波解のような全域解の空間分岐点でのブロッキング現象などを紹介する。 また、時間が許せば、最後にメトリックグラフ上の熱拡散方程式に対する逆問題についても簡単に紹介をする。


第11回 大分大学 解析セミナー
日時 2023年6月17日(土) 14:30〜16:00
場所 サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)
講師 小杉 千春 氏(山口大)
題目 圧縮性弾性体の伸縮運動を表す非線形偏微分方程式の解の挙動に関する考察
要旨
本講演では、空間1次元で定義された弾性体の平面上での伸縮運動を表すbeam方程式に、 物体がもつエネルギーの時間変化を表す粘性項を加えた方程式の解の時間大域挙動を考察する。 beam方程式は空間2次元で定義された弾性体の方程式の近似としてよく用いられているが、 本研究のように空間1次元で定義された弾性体の方程式の近似としての妥当性は未検証である。 そこで、本研究では、扱う方程式の定常解の形状と物理的解釈が明確でないbeam方程式の空間4階微分項の係数との関係を明らかにし、 空間1次元での近似の妥当性を明らかにすることを目的とする。 まず、これまでに得られているbeam方程式からなる非線形偏微分方程式の初期値境界値問題の可解性について述べる。 次に、この問題に対する定常問題の解の存在とω-limit setが空でないことを示す。 この証明では、初期値境界値問題の時間大域解が定常解に収束する部分列をもつことを示すが、 その際に得られた時間に無関係な一様評価から、初期値の条件を変えることなく初期値境界値問題の解の正則性を上げることができた。 講演では主に、この鍵となる不等式の導出のアイデアを紹介する。本講演は、愛木豊彦教授(日本女子大学・理学部)との共同研究に基づく。


第10回 大分大学 解析セミナー
日時 2021年2月19日(土) 16:10〜17:40
場所 サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)
講師 伊藤 涼 氏(神奈川大)
題目 反応拡散方程式の非有界な進行波解
要旨
反応拡散方程式の非有界な進行波解の存在を, 空間1次元かつ特殊な形の非線形項に対して考察する. 単安定型の非線形項に対しては, 2つの零点をつなぐ進行波解の存在が知られている. 本講演では「非線形項をいろいろ動かして, 零点の1つが無限大になってしまったとき, 零点と無限大をつなぐ進行波解は存在するか?」という問いを考える. 対象とする非線形項の典型例は線形関数である. 古典的な進行波解の理論を非有界な進行波解も含めた枠組みで考え直すことにより, 進行波解の最小速度を決定するための条件式が非線形項の比較として捉え直すことができる. 本講演の内容は明治大学の二宮広和氏との共同研究に基づく.


第9回 大分大学 解析セミナー
日時 2021年2月19日(土) 14:30〜16:00
場所 サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)
講師 喜多 航佑 氏(早稲田大)
題目 Qualitative theory of solutions to parabolic equations with nonlinear boundary conditions
要旨
本講演では非線形境界条件を伴う放物型方程式の解の定性的な性質について考える。 ステファンボルツマンの法則に想起される(境界において熱を放射するような)非線形境界条件は物理学的にも重要な研究対象であるが、 この様な境界条件下での放物型偏微分方程式に対しては未だ十分な研究が行われているとは言えない。 本講演では、非線形境界条件下の藤田型方程式の局所適切性について簡単に述べた後、 非線形境界条件下での解析に有用な新たな枠組みでの比較定理を紹介し、 その応用として有界領域における藤田型方程式の臨界現象(時間大域解の存在・ 非存在)が境界条件によって特徴付けられることを示す。 また、モスコ収束を用いた非線形発展方程式の解の収束の理論の観点から、臨界の境界条件が冪乗型の非線形境界条件より自然に現れるということを明らか にする。 本講演の内容は大谷光春名誉教授(早稲田大学)との共同研究に基づくものである。


第8回 大分大学 解析セミナー
日時 2019年12月7日(土) 16:30〜
場所 サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)
講師 久藤 衡介 氏(早稲田大)
題目 拡散ロジスティック方程式の最適棲息問題と
$L^1$非有界な定常解の列の存在について
要旨
生物種の個体群密度の時空的変化を記述する拡散ロジスティック方程式の定常解について考える. この方程式について, W.-M.Ni は「拡散係数と資源関数(餌の分布に対応する関数)を様々に変化させて, 定常解(生物種の定常分布)と資源関数の$L^1$ノルムの比を最大化せよ」という問題を提出している(2010頃). 空間1次元のケースでは,X.Bai-X.He-F.Li (2015)によって, その比の上限が3であって, 上限に至る拡散係数と資源関数の列が示されているが, 対応する解の列の形状については詳しくは分かっていなかった. 本講演の前半部では,Baiたちの発見した解の列に対して, その形状を明らかにする. 後半部では,空間多次元のケースだと, 拡散係数と資源関数の列を適当に選べば, 定常解と資源関数の$L`1$ノルムの比が発散することを示す. 本講演の前半部は井上順平氏(電気通信大学大学院M2)の研究紹介であり, 後半部は井上氏と講演者の共同研究に基づく.


第7回 大分大学 解析セミナー
日時 2019年6月29日(土) 17:05〜
場所 サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)
講師 兼子 裕大 氏(日本女子大)
題目 Positive bistable項を伴う反応拡散方程式の解の伝播形状について
要旨
本講演では、反応拡散方程式の自由境界問題における解の漸近挙動について考える。 ここで自由境界問題とは、方程式を満たす密度関数と、 時間に依存する境界の2つを同時に求める問題である。 最近、2つの正の安定平衡点を持つ反応項f(Positive Bistable項と呼ぶ)の場合に、 様々な興味深い性質が明らかになってきた。Kawai-Yamada (2016)は、 解の漸近挙動について有界区間上の一様収束の意味で分類を行い 、fの大小2つの安定点に対応するspreading挙動を示した。 そこで次のステップとして、 自由境界付近も含めた領域全体での収束について考える。 このとき、前述の大きなspreading挙動はさらに次の2つの場合に分かれることを示した。
i) fの大きな安定点に対応するSemi-wave関数に収束する
ii) fの2つの安定点を結ぶ進行波と小さな安定点に対応する Semi-wave関数を組合せたpropagating terraceに収束する
本講演では後者の証明を中心に、2段階の伝播を伴うテラス解の構成法と 、数理生態学の侵入現象との関連性について紹介したい。 本講演の内容は、松澤寛氏(沼津高専)と山田義雄教授(早稲田大学)との共同研究に基づく。


第6回 大分大学 解析セミナー
日時 2019年6月29日(土) 15:15〜
場所 サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)
講師 奥村 真善美 氏(大阪大)
題目 動的境界条件下のCahn--Hilliard方程式に対する構造保存スキームの構成と解析
要旨
本講演では, 動的境界条件と呼ばれる, その条件内に未知関数の時間微分を含む境界条件を伴うCahn-Hilliard方程式系に対する構造保存スキームについて考える. この系に対する数値計算の先行研究は, 理論的な結果に比べると多くはない. 差分法では, Fukao-Yoshikawa-Wada (2015)により, 境界の外向き法線方向微分を前進差分で近似した, 離散変分導関数法(DVDM)による構造保存スキームの結果が報告されている. ここで, DVDMでは, 方程式を特徴づけるエネルギーという量をどう離散化するかが重要となることに注意したい. 今回は, そのエネルギーの離散化を従来のものから修正し, 適切な部分和分公式を用いることによって, 境界の外向き法線方向微分を中心差分で近似した構造保存スキームを構成することができた. 本講演では, 主に提案スキームの構成の仕方, 数値実験結果, そしてスキームの可解性及び誤差評価について報告する.


5回 大分大学 解析セミナー
日時 2018年12月5日(水) 16:30〜
場所 サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)
講師 柏原 崇人 氏(東京大)
題目 滑らかな領域における楕円型・放物型ノイマン境界値問題に対する有限要素法の$L^\infty$誤差評価について
要旨
楕円型および放物型問題に対する$L^\infty$ノルム(最大値ノルム)による汎用的な誤差評価手法の開発については, 1970年代のJ.A. Nitsche, A.H. Schatz, L.B. Wahlbinを含む先駆者の研究以来, 多くの貢献がなされ,現在では標準的な証明法が確立されたと言える状況にある. 一方で,有限要素法で滑らかな領域(曲がった境界を持つ領域)を扱う際は, 多角形や多面体領域で近似した上で三角形分割・有限要素空間の導入・定式化を行うのが最も基本的であるが, そのような領域近似(領域摂動)に伴う誤差を考慮した厳密な$L^\infty$誤差解析は, 斉次ディリクレ境界条件の場合しか知られていないと思われる. 本講演では,ポアソン方程式と熱方程式の非斉次ノイマン問題に対して, 領域摂動誤差を考慮した$L^\infty$誤差評価を考察し, $O(h2 |\log h|)$すなわち領域摂動なしのP1要素の場合と同等の評価が得られたことを報告する. 証明の鍵は,汎用的な誤差評価手法において複数回用いられるガラーキン直交性が厳密には成立しなくなるものの, メッシュサイズが0になる極限のもとで漸近的に成り立つことを領域摂動評価を用いて示す点にある.


第4回 大分大学 解析セミナー
日時 2018年5月12日(土) 16:30〜
場所 サテライトキャンパスおおいた(ホルトホールおおいた内)
講師 矢崎 成俊 氏(明治大)
題目 構造保存を目指した動く曲線の数値計算について
要旨
平面曲線が時々刻々と変形する運動は,流体運動,結晶成長,燃焼現象,化学反応,画像処理など, さまざまな現象や応用分野において登場する. 曲線の運動を記述する方法はオイラー的かラグランジュ的かによって二つに大別される. 前者は,等高面の方法やフェーズフィールド法,あるいは反応拡散方程式を用いる方法などの間接法が, 後者は,曲線を時空のパラメータ表示により表現する直接法が代表的である. 本講演では,直接法による近似解法を紹介する. 曲線を折れ線で近似し,さまざまな幾何学的量は対応する離散化された量で代用する. 離散化の仕方は数多くあるが,対象とする時間発展方程式がある種のエネルギー等式, あるいは不等式のような「構造」をもつ場合は,その構造を保存するような離散化が望まれる. 本講演では,さまざまな現象例とともに,そのような離散化の例のいくつかを紹介したい.


第3回 大分大学 解析セミナー
日時 2017年11月15日(水) 16:30〜
場所 サテライトキャンパスおおいた(ホルトホールおおいた内)
講師 岡本 葵 氏(信州大)
題目 確率化された初期値をもつエネルギー臨界非線形Schr\"odinger方程式の初期値問題の可解性
要旨
初期値を確率化し,エネルギー臨界非線形Schr\”odinger方程式の初期値問題を考える. ゲージ不変性がない非線形項では,Ikeda and Inui(’15)により, $H^s$ $(s < 1 )$にて解が非存在となる初期値の条件が示されているが, 確率化により,そのような初期値は除外される. 証明では,確率化された初期値をもつ線形Schr\"odinger方程式の解の摂動として求める解を捉える. 確率化によりStrichartz評価式は許容指数対でなくてもほとんど確実に成立する. このような確率的Strichartz評価式と双線形Strichartz評価式とを組み合わせることで, 摂動部分は初期値よりも高い正則性を持つことが得られる. なお,本講演の内容はTadahiro Oh氏(Univ. of Edinburgh), Oana Pocovnicu氏(Heriot-Watt Univ.)との共同研究に基づく.


第2回 大分大学 解析セミナー
日時 2017年4月15日(土) 15:30〜
場所 福岡工業大学D棟D24教室
講師 竹田 寛志氏(福岡工業大)
題目 構造的消散項をもつ波動方程式の解の大域挙動とその応用について
要旨
本講演では、構造的消散項をもつ波動方程式の漸近展開について考察する。 これまで、構造的消散項 $\nu(-\Delta)^{\sigma} u_{t}$ をもつ波動方程式に関しては、 Reissig、D'Abbiccoらによってその消散項のラプラシアンのべき $\sigma$ に応じた解の時間減衰評価が構成され 、Cauchy問題の解の性質が調べられてきた。 これに対し我々は、 $\sigma$のみならず係数 $\nu$ の値にも応じた漸近形を具体的に与えることでこの方程式の解が$\nu$ と $\sigma$ の値によって5種類に分類できることを示した。 その結果、Reissig-D'Abbicco による時間減衰評価の最適性が得られる。 また、 この解の漸近展開公式を応用して、藤田型の非線形問題の解の漸近展開公式や同じ消散項を持つ弾性波の長時間挙動にも言及する。 本講演の内容は一部、池畠良氏(広島大)との共同研究によるものである。


第1回 大分大学 解析セミナー
日時 2017年2月20日(月) 16:30〜
場所 大分大学 教養教育棟41番教室
講師 隠居 良行氏(九州大)
題目 Asymptotic behavior of solutions of the compressible Navier-Stokes equations under the slip boundary condition
要旨
In this talk I will consider large time behavior of solutions to the compressible Navier-Stokes equations in a 2D infinite layer under slip boundary condition. It is shown that if the initial data is sufficiently small, the global solution uniquely exists and the large time behavior of the solution is described by a superposition of one-dimensional nonlinear diffusion waves. I will also consider the problem in a cylinder. This talk is based on a joint work with Abulizi Aihaiti and Shota Enomoto (Kyushu University).