第21回 大分大学 解析セミナー
日時:2025年12月13日(土) 14:00~15:00
場所:サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)
講師:松本 敏隆 氏(静岡大学)
題目:安定性条件の拡張と線形発展作用素の生成について
要旨:Banach空間における線形発展作用素の生成定理の研究は、Kato (1970)以降生成作用素の定義域が稠密な場合に多くの理論的研究と偏微分方程式への応用が行われてきた。 生成作用素の定義域が稠密でない場合については、非回帰的Banach空間の場合に先ず研究が行われ、特にThieme (1990) は強連続半群の自然な拡張である局所Lipschitz連続な integrated semigoup を 可積分関数空間における人口動態の半線形初期・境界値問題に応用した。回帰的Banach空間においては、時間依存しない生成作用素の場合に、Magal-Ruan (2007), Thieme (2008) などの研究があるが、 彼らが用いた安定性条件はLaplace変換に基づくものであり、時間依存する生成作用素の場合への拡張は困難である。 本講演では、従来の差分に基づいた安定性条件の拡張とその下での発展作用素の生成および時間微分可能性の結果について紹介する。本講演の内容は田中直樹氏(静岡大学)との共同研究に基づく。