大分大学解析セミナー

大分大学 解析セミナー

大分大学 解析セミナーでは、解析学に関わる話題について講演を予定しています。
開催は不定期、会場は J:COM ホルトホール(大分駅前)です。
どなたでもご参加いただけます(参加費不要)。
懇親会等の準備の関係上、次回ご参加の際は 2025/7/10 (木)までに
内田 俊(shunuchida[あっと]oita-u.ac.jp, あっと -> @)へのメール
にて事前にご連絡下さい。
皆様のご参加をお待ちしております。

次回のセミナー

第18回 大分大学 解析セミナー

日時:2025年7月26日(土) 13:30~15:00

場所:サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)

講師:中島 慶人 氏(東北大学)

題目:非整数階時間微分と時間依存する汎関数の劣微分作用素を含む非線形抽象発展方程式の可解性と応用

要旨:1階時間微分を含む抽象発展方程式の理論はこれまで精力的に研究されており, そこで得られた抽象論の成果は, 具体的な勾配流方程式などへ広く応用されてきた. 一方非整数階時間微分は, 初期時刻からの関数全体の挙動に依存する非局所性など, 解析上のさまざまな困難を伴うため, 非整数階時間微分を含む発展方程式の研究は現在も発展途上にある. 本研究では, 非整数階時間微分を含む時間依存を伴う劣微分作用素をもつ抽象発展方程式の可解性に関して得られた結果を述べる. さらに, 得られた結果を領域が時間とともに変化する退化拡散方程式へ応用する.



第19回 大分大学 解析セミナー

日時:2025年7月26日(土) 15:30~17:00

場所:サテライトキャンパスおおいた(J:COM ホルトホール大分 内)

講師:赤木 剛朗 氏(東北大学)

題目:有界領域における Fast Diffusion 方程式の解の漸近形について

要旨: プラズマ拡散のモデルに由来する Fast Diffusion 方程式に関しては, 解が有限時間で完全に消滅する現象 (finite-time extinction) が起きることが知られている. 1980 年頃, J.B. Berryman と C.J. Holland は有界領域上の Cauchy-Dirichlet 問題を考え, (技術的な仮定の下で) 解の消滅レートを特定し, さらに解の漸近形について考察する先駆的な論文を発表した. その後, 多くの研究が後に続いたが, 最近も Berryman と Holland の論文に現れる技術的な問題が T. Jin と J. Xiong によって完全に解決されるなど, 依然としてアクティブな研究領域である. 特に 2021 年の M. Bonforte と A. Figalli の論文は解の漸近形への収束に関する定量的な解析にブレイクスルーをもたらし, 現在もそのインパクトは広がっている. 本講演ではこれまでの研究を概観し, 特に講演者が関わってきたエネルギー解の漸近形付近に於ける漸近挙動に関する定性的および定量的な研究について, 講演者以外の結果も交えながら解説したい.